研究課題
基盤研究(C)
本年度は、研究全体の準備期間に充て、基礎史料の蒐集と整理を集中的に行う作業を継続させつつ、一部の地方志に関する緻密な史料論的解析を試みた。具体的な研究実績は、以下の通りである。1.地方志については、「中国地方志集成(浙江府県志輯)」「同(郷鎮志輯)」等の基本的現有設備に加え、「中国地方志集成(福建府県志輯)」を新規購入し、それらに関する皆尽的調査に着手した。どのような内容・項目によって構成される、如何なる地方志が作成されたのか、あるいは残存しているのかを、府・州・県・鎮・郷レベルごとに分類の上、系統的整理を行う作業を継続しつつある。2.碑記については、「石刻史料新編」等の現有設備に加え、「宋集珍本叢刊」の一部などを購入し、それらを中心として、どのような事柄を刻んだ碑記が作られ、残存しているのかを、項目・種類ごとに皆尽的に調査し、それら史料の蒐集・整理を行う作業に着手した。また、上記1と同様に、蒐集済み史料を各地方行政区画ごとに分類し、同じ対象物について異なる時代に刻まれた碑記については、系統的に整理していった。3.今年度は特に、宋代以降に地方志の編纂が顕著になっていく現象の背景を探るために、残存する、北宋時代の希少な地方志「呉郡図経続記」についての史料論的分析を行った。著者の自序、それ以降の序跋文を蒐集・読解するとともに、著者朱長文の各種伝記史料をはじめとした関連資料を徹底的に分析した。その成果の一部及び全貌は、来年度中に雑誌論文として公表の予定である。4.東北大学において蘇州府関連の地方志を系統的に幅広く調査し、各時代に編纂され蘇州府志の序跋文の蒐集、当地の宋代碑記史料の抽出作業を試みた。上記1の研究作業を補う目的に加え、宋代の碑記史料が後世の地方志にどのように記録されていったのかを探ることも試みた。この成果についても、来年度中に口頭発表をし、論文化する予定である。
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アジア遊学 (発表予定)