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2008 年度 実績報告書

イギリス名誉革命体制の統治構造再編に関する基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 17520487
研究機関北海道大学

研究代表者

長谷川 貴彦  北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (70291226)

キーワードアソシエーション / 福音主義 / イギリス
研究概要

本研究の目的は、「福音主義」と「アソシエーション」をキー概念としてイギリス名誉革命体制の統治構造の再編過程を考察することにある。従来、名誉革命の統治原理は「宗教的寛容」と「地方自治」とされてきたが、宗派間の融和を説く福音主義者は、1780年代以降、日曜学校運動・奴隷貿易廃止運動1道徳改革運動などに関するアソシエーションの全国団体を設立し、中央と地方の関係を再編していった。その中心的な活動家は、ヨークシャー出身のウィリアム・ウィルバフォースであった。そうした団体の一つである「貧民の状態改善協会」は、後期啓蒙の時代の産物として、「貧民に関する科学」を標榜しながら、政治社会の変革のための政策科学を担う任意団体として登場してきた。本研究は、ウィルバフォースを中心とする国教会福音主義派について、大英図書館あるいはオクスフォード大学ボードリアン図書館所蔵のウィルバフォース文書を活用しながら、その博愛主義的諸活動の軌跡を明らかにしようとした。協会は、抽象的理論に基づく改革を「思弁的」であるとして批判して、地方名望家の手によって「あるがままの事実」を創出しながら、それを博愛主義的実践のモデルに据えて出版・流通させ、経験と事実による漸進的改革を志向するものであった。一九世紀前半の社会改革立法をめぐっては、幾つかの異なる類型が現れるという。一八世紀後半においてベンサムらが開始した社会改革の実践、ならびにウィルバフォースら国教会福音主義者の実践は、ふたつの対極的な社会改革の起点となっている。イギリス自由主義時代における社会改革をめぐる全体像は、こうした福音主義者による改革路線を組込むことによって、初めて明確になるのである。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ポスト・サッチャリズムの歴史学2008

    • 著者名/発表者名
      長谷川貴彦
    • 雑誌名

      歴史学研究 846

      ページ: 11-19

  • [雑誌論文] ナポレオン戦争期における政治社会の再編2008

    • 著者名/発表者名
      長谷川貴彦
    • 雑誌名

      近藤和彦編『歴史的ヨーロッパの政治社会』

      ページ: 411-443

  • [学会発表] ポスト・サッチャリズムの歴史学2008

    • 著者名/発表者名
      長谷川貴彦
    • 学会等名
      歴史学研究研究会大会・全体会
    • 発表場所
      早稲田大学、東京
    • 年月日
      2008-05-17
  • [図書] 文化史とは何か2008

    • 著者名/発表者名
      長谷川貴彦
    • 総ページ数
      220
    • 出版者
      法政大学出版局

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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