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2006 年度 実績報告書

中世ロシア正教会異端の系譜と民衆信仰(異文化融合の諸相に関する考察)

研究課題

研究課題/領域番号 17520491
研究機関電気通信大学

研究代表者

三浦 清美  電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (20272750)

キーワード中世 / ロシア / 異端 / 民衆 / 信仰
研究概要

本研究は、中世ロシア諸異端を公式的文化(キリスト教)と民衆的サブカルチャー(スラヴ的非キリスト教文化)との葛藤と同化の所産と捉え、従来の学説が依拠した、修道院領世俗化をめぐるヨシフ派と無所有派の論争に現れた異端に関する証言ばかりではなく、13世紀から15世紀にかけて正教会聖職者によって盛んに書かれた民衆の異教的宗教儀礼を糾弾する文書にも考察対象を広げ、中世ロシアの宗教性の全体像を再構築することを志すものである。より具体的には、中世ロシア諸異端(ストリゴリニキ、ユダヤ主義異端)の民衆的基盤が、異教糾弾文書においてしばしば言及される「ロードとロジャニツァ信仰」にあったとする研究代表者の仮説を、中世ロシア諸異端とこの異教信仰との内在的な類似性の探求を通じて立証することが課題となる。
この比較研究のためには、異教糾弾文書の精読が必要であるが、刊行テクストとして研究者が利用できるテクストの数は限られており、研究に利用する場合、写本からの翻刻作業が不可欠である。そのため、本年度は昨年度につづき、サンクト・ペテルブルグのロシア国民図書館写本室での翻刻作業を3月に予定している。異教糾弾文書は、「コルムチャヤ・クニーガ」と呼ばれる正教会教会法典文集か、あるいは、その系譜に属する教会文集に収められるのが普通であるが、本年度は「コルムチャヤ・クニーガ」と西ヨーロッパの教会法典文集である『グラーティアーヌス教令集』とを比較する試み、そのために数多くの文献を収集した。
2年間が終わった段階で率直な感想を述べると、異教糾弾文書とヨシフ派が排撃した異端とのあいだの連関を見出すのは思いのほか困難であり、両者のあいだの関係にきちんとした繋がりをっけることは不可能かもしれないという所感を得ている。しかしながら、ノヴゴロド・ソフィア・コレクション1262、1285の全体像を捉えるために、その収録テクスト目録を作成することは、当初の目的とは異なるとはいえ、十分に意味のあることと考えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 中世ロシアの『舵の書』について2007

    • 著者名/発表者名
      三浦 清美
    • 雑誌名

      ロシア史研究 78(印刷中)

  • [雑誌論文] 『キエフ洞窟(ペチェルスキイ)修道院聖者列伝』解題と抄訳(I)2007

    • 著者名/発表者名
      三浦 清美
    • 雑誌名

      電気通信大学紀要 19

      ページ: 129-147

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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