平成18年度も、平成17年度の作業を継続し、「フランス革命研究コレクション」のカタログを精査し、本研究課題を遂行するうえで利用可能な関連史料を蒐集したが、検討・分析するまでにはいたっていない。また、『議会議事録』(Archives parlementaires)の索引を利用して、全国各地の市町村や人民協会などから国民公会に寄せられた、最高存在の祭典に直接・間接に関係する膨大な意見書の所在を確認し、それらの史料のごく一部を読み、分析した。 いっぽう、平成18年度も夏期休暇中に一ヶ月半程度のあいだ渡仏し、国立図書館に所蔵されているカトリックの聖職者の手になる神学書の蒐集と分析をおこなった。とくに今年度は国立古文書館やパリ市歴史図書館や警視庁文書館で史料調査を集中的におこない、ジャコバン独裁期の「世論」や民衆の宗教意識などにかかわる手稿史料をかなりの程度蒐集し、参照することができた。 以上の研究活動の成果をも背景として、平成18年度には「地方紙研究の意味とはなにか」(『歴史学研究』816)と「フランス革命におけるパリの民衆-食糧をめぐる騒擾を中心にして-」(『専修大学歴史学研究センター年報』第4号)の2論考を公にした。また、近いうちに、パリの「サン=キュロット」運動の観点からリヨンのフランス革命を論じた「リヨンの革命と『サン=キュロット』」(『史学雑誌』)が刊行される予定である。
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