本研究課題を遂行するため、研究代表者・分担者を核とする研究会を立ち上げた。第1回研究会では、研究代表者の藤本和貴夫が「1920年代の東北アジアと日ソ関係-日ソ基本条約80周年」に関する報告を行い、全体の見取り図を示した。続く2回は、この分野の専門家を招いて研究会を行った。すなわち、第2回は白栄〓「1920年代間島における中日関係-裁判管轄権を中心に」、第3回はA.コーシキン「東アジアにおける日ソ関係-20年代から第2次大戦まで」に関する報告を聞き、報告をもとにした参加者間の討論を行った。 他方、藤本和貴夫は、1921年に、日本と極東共和国との間で始まった大連会議、続く長春会議に関するソ連側の資料の収集を行って、極東共和国の背後で会議を指導したロシア共産党の対日戦略を検討している。また、ソ連や極東共和国の状況をあきらかにしようとして、シベリアからモスクワを目指し、行方不明となったロシア通のジャーナリスト大庭柯公に関する資料収集も行った。 華立は中国社会科学院近代史研究所図書館、北京大学図書館(中国・北京)および復旦大学図書館(中国・上海)等において、1920年代の中ソ関係に関する資料を調査した。また、資料収集の一環として、戦時中北京で設立された日本末次研究所が集め、1945年以後厦門大学が保管、1996年に『中華民国史史料長編・外編』と題して中国で公刊された、全100冊の新聞資料集を収集し、この資料集を利用して、1920年代〜30年代の中ソ関係の関連記事を中心に分類・整理の作業を行っている。
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