研究課題
基盤研究(C)
1.1935、37年に北朝鮮のピョンヤン附近で発掘調査された楽浪土城の出土品を整理しデータベースを作成した。出土品は東京大学文学部が所蔵し、土器・瓦・せん・ガラス・封泥・青銅器・鉄器・銅銭・鋳型や銅滓などの多岐にわたるが、昨年度に引き続き写真撮影し、材質・形状・規格・出土地などの情報をテキストデータとして整理し、データベースを作成した。特に、土器と鉄器を当時の記録や写真をもとに整理して、遺物番号付け、出土状況・諸属性の記述、実測図の作成、写真撮影をおこないデータベースを完成させた。2.1965年に刊行された報告書『楽浪郡治址』では一部の遺物しか整理されなかったが、今回すべての遺物の整理が済んだ。それをもとに3点の鉄器の分析を九州テクノリサーチに、その他の重要な鉄器数点の保存処理を京都科学に依頼した。金属部分の状態が良好な四稜鉄鏃は縦に切断して中心部と周辺部を分析し、鋳型による鋳造の後に表面を脱炭処理していることを明らかにした。鋳造鉄斧は、炭素が多く珪素がきわめて少ない白鋳鉄で亀裂や鋳巣がみられ、そのために脱炭処理による損壊を避けたと推定した。即ち鋳離しのままである。椀形滓は鉄滓とみていたが、鉄が多く含まれているものの、これは粗銅の不純物であり銅精錬滓と判断した。3.楽浪土城で製作された鉄器は、鋳造品でも脱炭処理をするもの(鉄鏃)としないもの(鉄斧)があり、それは機能に関係すると考えられる。その違いが明らかとなり、日本の弥生時代の鉄器との比較データが今回提示できた。
すべて 2007
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韓国朝鮮文化研究 第10号
ページ: 17-44
人文学論叢 第8号
ページ: 189-198
KOREAN CULTURE, Korean Studies of The University of Tokyo, Graduate School of Humanities and Sociology Vol.10
Bulleting of Humanities Vol.8
Aoki Shoten
Ehime University