1.研究対象とした岡山平野における遺跡の内容あるいは景観復元にとって必要を考えられる資料収集を、研究補助を得ながら行った。 (1)発掘調査が行われた遺跡の調査報告書に加えて、調査範囲の非常に狭い立会調査程度の報告まで、研究対象となる内容の遺跡報告を抽出し、資料のデータベース化を進めた。具体的には、各地点の地形を柱状化することができるようなデータ、あるいは生業に関連するデータ、集落の内容を示すデータ、植生などの環境に関するデータである。 (2)旧地形の復元に関して、特に中世以降の地形復元の手がかりとして、明治期に遡る地籍測量図を一部(可能な限り)入手し分析を進めた結果、一定の有効性が確認された。 2.研究対象地である岡山平野部において、遺跡の調査を行っている岡山県教育委員会・岡山市教育委員会の研究者との研究会を開催した。これまで蓄積されているデータの確認あるいはその活用方法を検討し、今後の計画を具体化させていった。 3.土壌分析を業者に依頼した。分析試料は、研究対象地域に位置する鹿田遺跡の土壌であり、プラントオパールおよび花粉分析を行った。その結果、弥生時代・古墳時代の環境あるいは中世における水田経営の状態を考える上で有意義なデータを得た。 4.地理情報システムを活用した景観復元のためのシステムについて、他に機関での活用例などを検討し、方向性を探った。 5.他地域と比較検討を行った。比較対象とした地域は、自然環境が大きく異なる地域として、東北地域あるいは関東地域の遺跡を取り上げた。遺跡の踏査あるいはその内容を実見し、弥生時代から中世までの遺跡の景観を確認した。
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