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2005 年度 実績報告書

近世陶磁器の生産・流通・消費に関する考古学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17520524
研究機関椙山女学園大学

研究代表者

森本 伊知郎  椙山女学園大学, 文化情報学部, 助教授 (10329633)

キーワード考古学 / 近世 / 陶磁器 / 流通
研究概要

平成17年度は、愛知県、岐阜県、東京都、山梨県、広島城、岡山城、別府城などから出土した近世陶磁器について実地調査を行った。また、主に東海道地域の発掘調査報告書の収集を行い、それらの研究成果の一部を「東海道における近世陶磁器の流通-産地組成からみた地域差-」『文化情報学部紀要』第5巻(2005年)椙山女学園大学に発表した。
それによると、江戸と名古屋、大坂・京都の関西では、出土する近世陶磁器の産地組成に地域差が存在することが明らかになった。江戸では肥前系が18世紀初頭まで70%程度を占めるが、それ以後減少し、代わりに瀬戸・美濃系が増加する。大坂・京都においても肥前系が18世紀初頭まで60〜70%を占め、その後減少する。しかし、肥前系に代わって増加したのは、京・信楽系である点で江戸とは大きく異なる。京阪における18世紀以降の瀬戸・美濃系は10%以下と少なく、水甕、植木鉢など特殊な器種が目立ち、江戸で多い碗皿類が少ない。名古屋城下は、17世紀から19世紀まで、江戸時代を通じて瀬戸・美濃系の陶器が70%以上を占める、全国的に見て特異な産地組成を示す。従来は産地である瀬戸・美濃が近いから、と説明されることが多かった。しかし、これだけでは十分な説明ではなく、むしろ、尾張藩が自藩の特産品である「瀬戸物」生産を保護するために、肥前系陶磁器の流入を抑えていた可能性が高いと考えられる。今回収集した資料から考えると、木曾・揖斐・長良川の木曾三川よりも西側は京・信楽系が主体となる地域、東側は瀬戸・美濃系が主体になる地域と比較的明瞭に区分することが出来る。今後さらに検討する必要があるが、近世の陶磁器流通における東海圏と関西圏の境界となっていた可能性が高い。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 東海道における近世陶磁器の流通-産地組成からみた地域差-2005

    • 著者名/発表者名
      森本 伊知郎
    • 雑誌名

      『文化情報学部紀要』椙山女学院大学 第5巻

      ページ: 133-151

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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