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2006 年度 実績報告書

近世陶磁器の生産・流通・消費に関する考古学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17520524
研究機関椙山女学園大学

研究代表者

森本 伊知郎  椙山女学園大学, 文化情報学部, 助教授 (10329633)

キーワード考古学 / 近世 / 陶磁器 / 流通
研究概要

全国の消費地遺跡から廃絶年代と陶磁器の出土量が把握できる遺構を選び、遺構を単位に陶磁器の産地組成を集計し、組成の年代的な変化を地域間で比較した。近世遺跡の発掘調査は城跡などに偏り、また、出土量の判明する報告が少ないので、さらに調査が必要であるが、今回の限られた分析からみても、近世陶磁器の流通には地域差が存在することが判明した。肥前(唐津・有田)は、全国的に製品を供給した近世最大の生産地で、西日本と日本海側では近世を通じて高い割合を占めるが、18世紀後葉以降にはシェアの低下する地域が多い。瀬戸・美濃は、17世紀初頭までの桃山陶器は全国の城館などから出土するが、17世紀中葉以降になると、市場はほぼ尾張以東に限られる。江戸では肥前に次ぐが、京阪では京・信楽系のシェアを超えることは無い。瀬戸は19世紀初頭に磁器生産に成功すると再び全国的な市場展開を行ったようである。京・信楽は生産の実態に不明点が多いが、西日本では多い。近世陶磁器流通の背景については、従来は、生産地との輸送距離や消費者のニーズなどで説明されることが多かった。しかし、今回の分析から見ると、窯業生産地を擁する各藩がとった保護貿易的な政策も陶磁器流通に大きく影響したと考えられる。例えば、瀬戸を擁する尾張藩の名古屋城三の丸跡では、瀬戸・美濃製品が圧倒的で肥前は1割に満たない。全国的には肥前が1割に満たない消費地は珍しく、尾張藩が肥前陶磁器の流入を抑制していた可能性が高い。また、仙台城二の丸では相馬藩の大堀相馬が多く、瀬戸・美濃の流入は抑えられていたようである。さらに、岐阜は瀬戸・美濃が卓越する地域であるが、加納城跡では肥前が6割を超えており、陶磁器について価格や入手のしやすさよりも藩主の嗜好性が反映された可能性が考えられる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] 近世陶磁器研究の現状と課題2007

    • 著者名/発表者名
      森本 伊知郎
    • 雑誌名

      近世・近現代考古学入門( 慶應義塾大学出版会) (印刷中)

  • [雑誌論文] 東海道における近世陶磁器の流通 -産地組成からみた地域差-2006

    • 著者名/発表者名
      森本 伊知郎
    • 雑誌名

      文化情報学部紀要(椙山女学園大学文化情報学部) 第5号

      ページ: 133-151

  • [雑誌論文] 東海道における近世陶磁器の流通2006

    • 著者名/発表者名
      森本 伊知郎
    • 雑誌名

      日本考古学協会 第72回総会研究発表会( 日本考古学協会)

      ページ: 194-197

  • [雑誌論文] 流通(3) 中部2006

    • 著者名/発表者名
      森本 伊知郎
    • 雑誌名

      江戸時代のやきもの -生産と流通-(瀬戸市文化振興財団)

      ページ: 251-270

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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