平成18年度は、忠清道地域とともに、集落の全容が調査されている前羅南道地域の様相の分析が前半期の主体となった。中でも石橋里遺跡や洛水里遺跡や洛水里遺跡では竪穴住居4〜5棟からなる基礎単位集団をとらえることができ、新古遺跡から、そうした基礎単位集団がいくつか集合して一つの村となることも解明できた。また細洞遺跡の倉庫群と住居群は、それぞれ別個の登道をもつことから、そうしたいくつかの住居群が有機的な関係をもって一つの倉庫群を共同管理したことも明らかにできた。さらにそうした一般集落の上に立つ集落として東林洞遺跡や河南洞・山頂洞遺跡、台木里遺跡があり、これらは環溝で全体を囲う台木里遺跡から河南洞・山頂洞遺跡のように溝で居住区の内部が方形に区画され、首長層の居住域が登場することも明らかになった。いっぽうソウル・京畿地域では、基礎単位集団の実例に楽民洞遺跡があり、それらより上位にあって方形区画を内包する漢沙里遺跡・自作里遺跡・発安里遺跡が析出された。これらが昨年度の研究で課題として残った中間層の集落であり、今回その実態をかなり把握できた。風納土城・夢村土城などの百済王城はこうした中間層集落の更に上に立つものでもある。このほか生産集落・交易拠点集落の一端も解明できた。熊津期は不明な点が多いが、泗〓期は都城内の集落の一端をとらえた。なお諸般の事情で、個別集落の分析は、すべて研究成果報告書に一括した。
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