研究課題
基盤研究(C)
本研究では西日本の島嶼部に立地する積石塚墳を対象として、島嶼部に積石塚墳が成立した要因、展開の過程、相互の関係の有無、各地域内での他の墓制との関係性など、多方面から検討を進めることにより、互いに離れた地域に見られる類似現象の解明を目指した。各地の積石塚墳において観察を中心とするフィールドワークを実施したが、とくに、鹿児島県長島の明神・指江古墳群については、分布図を作成するための測量調査や詳細な観察調査、出土遺物の実測調査などを行い、基礎的データの収集に努めた。調査によって収集したデータや、報告書のデータなどを基にした分析をとおして考察を行った。いずれの積石塚墳においても、階層性が表現されている状況を読み取ることができ、その状況は、列島の各地域に見られる古墳群のあり方と同様であると考えた。島嶼部における積石塚墳は、古墳文化の周縁地域において、基本的には島および島を含む在地の人々の手によって、土の墳丘と置換可能なものとして、成立し営まれたものと解釈した。積石塚墳はそれらを営んだ人々からは、きわめて古墳的なものとして認識されていたと考えている。なお、「土」と「石」の置換に際して、島という立地は大きな意味を有していたものと想定している。本研究ではフィールドワークを重視し、とくに、鹿児島県長島の明神・指江古墳群に関する基礎的資料を蓄積することができた。また、離れた地域に見られる構造的に類似した遺構の成立要因に、「置換」という解釈を持ち込んだことは、これまでの「関係性」を重視する解釈に、さらなる選択肢を加えることができると考えている。これらが、本研究の意義および重要性の一部である。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)
人類史研究 第14号
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鹿児島国際大学ミュージアム調査研究報告 第4集
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鹿児島国際大学 情報処理センター研究年報 12
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Bulletin of the International University ofKagushima, ArchaeologicalMuseum 4
Annual Reports of Information Processing Center, The International University of Kagoshima 12
鹿児島国際大学ミュージアム調査研究報告 第3集
ページ: 28-33
Bulletin of the International University ofKagoshima, ArchaeologicalMuseum 3
九州大学考古学研究室50周年記念論文集 (印刷中)
Collection of Essays in Honor of 50th Anniversary of Archaeological Research Center(tentative name)(in printing)