研究概要 |
1.畠跡調査:平成18年度から発掘調査が行われている伊達市有珠4遺跡で、有珠b火山灰(1663年降下)で埋積された畠跡の調査を行った。有珠4遺跡で発掘された畠跡では、放棄された畠部分に土壙墓が造成されていること、切り返しが行われていない単年度耕作の畠であったこと、有珠b火山灰降下直後にも農耕活動を行ったことを示す耕作痕が有珠b火山灰表層に刻まれていたことなどが明らかになった。 2.出土種子調査:道東で唯一のアイヌ文化期の作物種子が出土した網走管内常呂町で出土状況の確認を行った。出土したのは擦文化化期の竪穴住居埋積後の窪地を利用した「灰送り場」からで、野生種のササ属、キハダ,ヤマブドウの果実や種子、コナラ亜属子葉、ネギ属鱗茎に混じって「裸性オオムギ」が出土したものである。 また、時代が不明であった古宇郡泊村堀株1遺跡のアイヌ民族の土壙墓から出土した炭化コムギの年代測定を行い、暦年較正用年代値577±21y.B.P.(PLD-9977)を得、アイヌ文化期初期に該当する墓壙で、出土した作物構成が擦文文化期の構成を引きずったものであることが明らかになった。 3.データーの集約:報告書を作成するためのデーター集約を行い、該当期の26遺跡から出土した17種の作物種子の出土状況と鉄製農具の出土状況、17遺跡で確認された畠跡の規模、時期、畝の大きさ・方向東濃耕作、炭化物・プラントオパールの出土状況、出土作物種子等について集約し、成果報告書作成の準備を行った。
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