平成17年度は、11月までに小田原市千代廃寺、厚木市鐘ヶ嶽廃寺、茅ヶ崎市下寺尾廃寺、海老名市国分寺出土の古代瓦118点と横須賀市乗越瓦窯跡(窯跡はまだ未確認)の古代瓦20点の拓本・実測作業および蛍光X線分析によるデータ解析までを済ませ、12月から平成18年3月までは千代廃寺周辺の千代南原遺跡VII地点出土の古代瓦片119点と松田町からさわ瓦窯の瓦片60点の蛍光X線分析を行い、データの集積中である。 蛍光X線分析による生産瓦窯の実態は平成18年度後半にまとめることにしている。古代瓦の分類は肉眼で胎土を区分し、生産瓦窯を決めている場合が多いのであるが、同じ窯の製品とみなしているものを蛍光X線分析にかけてみると、グルーピングの異なる新知見が得られつつある。 横須賀市の乗越瓦窯製品は8世紀中葉から後半にかけての相模国古代寺院瓦のなかに多く見られるものであるが、今年度の実験によって3グループに分かれることが明らかになった。この結果が窯を異にする製品であるのか、製作した時期によって使用した粘土が異なっていたのか、瓦の製作技法と併せて検討しなければならない課題が明らかになった。 今年度の分析結果は、来年度の作業結果と合せて再検討することにしている。
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