本研究の目的は、空洞化が目立つ中心市街地の活性化という政策課題をふまえ、地域経済の再編や都市計画の見直しを視野に入れつつ、多様化する消費者購買行動や変容著しい地域商業環境を正確に把握するとともに、GIS(地理情報システム)を用いた商業立地分析や商圏モデルの構築をおこなうことにある。平成19年度における研究実績は以下のとおりである。 1.消費者購買行動に関するアンケート調査を実施する方向で検討を重ねてきたが、大型店舗立地に関する行政業務の見直しや財政措置の難しさ、さらには個人情報保護意識の高まりにともない調査協力者の確保が難しいことなどから、計画どおりの実施は困難な状況となっている。今後も引き続き、関係機関に協力をはたらきかけていく予定である。 2.「改正まちづくり三法」の施行にともない、大型集客施設の郊外立地が抑制されることになった。しかし、法的規制が強化されるまでの駆け込み立地が相次いでいる。また、地方分権と規制緩和の流れの中で、都市計画に関する自治体の裁量範囲が広がったが、かえって大型店の誘致競争を煽るような例も見られる。こうした政策的側面や商業環境に関して積極的な情報収集をおこなった。 3.研究情報の交換共有をはかり、成果を地域社会に還元する試みとして、研究テーマに関する公開ワークショップ「徳島県の商業環境と地域政策」(平成19年2月23日、於徳島大学)を開催し、下記のゲスト報告者2名を招き討論をおこなった。 (1)大谷博(徳島経済研究所):「徳島県の小売商業機能の評価」 (2)駒木伸比古(筑波大学・院):「大型店出店規制と徳島都市圏における大型店の立地動向」
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