研究概要 |
本研究の目的は,総合商社を対象として日本企業のグローバル化とローカル化の相克をレギュラシオン理論の視座から解明することである。研究期間の3年間において,当初の研究計画に記載した以下の5項目をほぼ予定通りに遂行した。(1)高額な二次資料・文献の収集については,総合商社に関する業界誌2誌,レギュラシオン理論コレクションなどの図書を購入し,成果作成に活用した。(2)関連資料の統計解析については,各社の社内資料および購入した業界誌データを統計処理し,各社の組織および事業戦略の特性について考察する資料とした。(3)訪問聴き取り調査については,大手商社6社の本社国際業務統括部署(在東京)および欧州会社業務統括部署(在ロンドン)を訪問し,担当部長や社長と面会し詳細な聴き取り調査を行い,従来と異なる新しい動向をまとめることができた。(4)専門家による研究レビューについては,多国籍企業の経済地理学研究の世界的第一人者であるディッケン教授(英国・マンチェスター大学)と面談し,今後の研究に関する示唆を受けた。(5)研究成果の発表については,国内では経済地理学会の全国大会,海外では第2回経済地理学グローバル大会(中国・北京)において口頭報告を行い,参加者から質問に答え,意見交換を行った。今回の研究を進める中で,「グローカル化」というキーワードによって企業の海外展開を考察することの重要性が浮かび上がったため,これらに関する研究成果も発表することができた。また研究成果を英語で発表したことで海外の研究者との研究交流が進展した。
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