研究課題/領域番号 |
17520542
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人文地理学
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研究機関 | 国際教養大学 |
研究代表者 |
熊谷 嘉隆 国際教養大学, 国際教養学部, 教授 (00381335)
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研究分担者 |
前中 ひろみ 国際教養大学, 国際教養学部, 准教授 (80381333)
嶋崎 善章 関西国際大学, 教育学部, 准教授 (40454772)
三橋 俊雄 京都府立大学, 人間環境学部, 教授 (60239291)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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キーワード | エコ・ミュージアム / 内発的地域活性 / 過疎地域 |
研究概要 |
本研究では過疎・高齢化により2005年3月に隣接3町(森吉、合川、鷹巣)と合併した秋田県北秋田市阿仁の住民と協働で、1)自然と人間の共生モデルの一つとされる阿仁マタギの森、野生動物との関係性、2)地域住民による各種森林資源の持続的活用の仕方、3)地域に伝承される民話、伝説、4)各種山菜やその採取・保存に関する経験知、5)伝統的農耕機具の使い方や修理法、などに関する地域資源発掘調査を行った。本研究ではこれらの資源をデータベース化し、有効活用しつつ地域に存在する自然、人、文化、歴史、生活のありよう、といったすべてが博物館の屋内・外の重要な展示物たり得るという「エコ・ミュージアム構想」を基軸とした内発的振興に向けての計画作りを地域住民と地元行政と研究参加者が共同で行っている。ここで一つ注目すべきは、本研究の計画段階では資源発掘の「成果」そのものが地域住民の地域アイデンティティーの再認識に寄与し、それが内発的地域活性の基盤になると推測していた。しかし、資源発掘作業の過程で研究者や研究補助の学生たちが新たな資源に遭遇する度に表明する驚きや興味が、研究に協力した地域住民における自らの地域へのまなざしの変化ともいうべきものにつながり、それが地域アイデンティティーや誇りの形成に影響を与えたようである。すなわち、資源発掘による「成果そのものも」さることながら、資源発掘の「作業過程そのもの」も重要であるとの認識が研究を通して得られた。また、これら一連の作業を通して、地域住民と研究参加者の間に信頼関係が徐々に構築され、それがそのまま「エコ・ミュージアム構想」を推進する上での内発的地域づくりの基盤構築に寄与したことは今後、類似研究を推進する上では認識されてよい。
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