平成18年度は前年度に収集されたUSCAR文書の整理.読解.分析を行うとともに、補足的な資料収集を実施し、最終報告書の刊行に結びつけた。収集された文書は、文書群ごとに一件ずつ分類され、収集文書データベースの基礎情報を構成した。このデータベースは「付録」として最終報告書に掲載される。USCAR文書の補足調査.収集は、平成18年8月より約一ヶ月間、アメリカ国立公文書館において行なったほか、平成19年2月には沖縄県公文書館を訪問し、収集文書データベースの公開に伴う問題点について公文書館専門員とともに検討した。収集したUSCAR文書の読解・分析の結果は、平成18年11月に近畿大学で開催された人文地理学会大会において「沖縄統治における「領域性」の行使-米軍文書にみる「オフ・リミッツ」の実態」と題して発表したほか、平成19年4月にカリフォルニア州バークレーで開催される全米地理学者協会政治地理学専門グループ・プレ会議において'The exercise of territoriality for the governance of Okinawa:"Off limits"enforcements disclosed in the USCAR documents'と題して英語による口頭発表を予定している。研究課題である沖縄地方政治への米軍統治の影響については、収集資料を用いて、コザ市政をめぐる政治的動態をオフ・リミッツ、Aサイン、米軍財政支援、売春や社会騒擾といった観点から実証的に分析することができた。その成果は収集資料データベースとともに最終報告書に掲載される。
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