外国人経営者に対するインタビュー調査の結果は、生活空間および職場に満足している外国人経営者だけが会社にとってよい意思決定ができるという主要仮定を肯定するものであった。カルチャーショックは、環境が日本人だけのために作られていて、通勤あるいは他の日常生活機能がうまくいかないときに起こっている。 外資系企業の人事担当者に対するインタビュー調査およびアンケート調査から、日本に出向している外国人経営者を満足させるには多大な金融的支援と様々な場面での手助けが必要であり、彼らが求めるワーキングスタイルとライフスタイルのために企業は適切なサポートをしている。現地採用の外国人経営者も増えている一方、現地採用者にはそのようなサポートや金融的補助はない。出向者と違い、現地採用者は帰国旅費や子供のインターナショナルスクールの費用などを自分で負担しなければならない。このようなことから、現地採用の外国人のためには企業のサポートだけでは不十分で、自治体のサポートも必要とされていることが示唆される。 関西圏においては職場の立地に関わらず、神戸に居住している外国人経営者が生活面でも仕事面でも成功している傾向がある。神戸には外国人コミュニティーが存在しており、市も外国人市民の生活のために努力をしている。大阪に立地する外資系企業は2倍あるものの、外国人経営者は神戸に居住する方を好んでいる。これは兵庫・神戸は外国のビジネスマンのための仕事と生活を統合した環境をつくることに意識的に、真剣に努力しているためである。地方自治体の支援により、現地ビジネスと外資系ビジネスが互いに溶け合って他の地域とビジネスをするためのインターフェースとして機能する国際的ビジネスコミュニティーを形成している。兵庫・神戸自治体はグローバルビジネスのハブとなるために真剣に取り組んでおり、企業と自治体の相互利益になっていることがわかる。
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