• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2006 年度 実績報告書

セーフティ・ファーストをめぐる職業倫理の構築米国における技術文化スローガンの創始

研究課題

研究課題/領域番号 17520559
研究機関東京基督教大学

研究代表者

金子 毅  東京基督教大学, 神学部, 助手 (30383417)

キーワード文化人類学 / 民俗学 / 宗教学 / 社会学
研究概要

助成の中間に当たる本年度は、マクロレベルとミクロレベル双方からの成果が得られた。
まず、マクロレベルにおいては前年度に構築したリスク論の援用に基づく聖書のテキスト分析を通して得た仮説(「恩恵/責任」による信頼の実践としてのセーフティ・ファーストという理論モデル)を精緻化し、かつその一般化を図るために、学会などの機会を利用して成果の公表を行うことに務めた。その過程で見出されたのが、企業体と教会の組織戦略の実践の場としてのデトロイトにおける「経営宗教」の姿である。中でも、「safety-first」の提唱当初の労働者の実態(カトリックの移民労働者を主力としていた点)と彼らを取り巻く社会的環境(ことに労働争議などをめぐる企業の労務管理、労災補償などの発生状況をめぐる統計データから復元される)との関係に注目することで、さらに社会史などの援用により立体的な地域史の構築に至る可能性が示唆された。
次にミクロレベルでは、第一に、「経営宗教」の実践者であり、企業とのパイプ役を果たした「safety-man」の存在が見出された。周知のようにフォードでは能率を重視する大量生産方式を採る一方で「safety-first」を企業理念とする「フォーディズム」という特殊な管理方式が構築されていた。「safety-first」は「safety-man」という現場から選任された労働者に一任されていた。この点から労働者による社会的上昇手段としての「safety-first」に内在化された戦略性を読み取ることが出来よう。
第二に、「safety-man」の属性という点であり、これは「移民」という視点と絡み合わせることにより興味深い結果が得られた。1915〜1928年の間の当該地における労働者構成からは、カトリックからプロテスタントへの改宗傾向が読み取れ、また「safety-man」が「福音の戦士」とも別称されていたことも、前記したフォードの「経営宗教」の実態を浮き彫りにしていよう。
上記の視点は、最終年度の現地調査の成果によって「safety-first」に投影される「経営宗教」の理論枠組みとして提示されることになろう。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 2006年度ワークショップ記録「災害と救い」 報告5.日本的「安全」は救いとして感得され得るか? -高度成長期における社員教育システムの検討から-2007

    • 著者名/発表者名
      金子 毅
    • 雑誌名

      宗教と社会 13号(6月刊行)

  • [図書] オカルトの帝国 : 収録論文「オカルト・ジャパン・シンドローム」(金子毅)2006

    • 著者名/発表者名
      一柳 廣孝(編著)
    • 総ページ数
      294
    • 出版者
      青弓社

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi