本年度は、本課題調査研究の2年目にあたり、初年度に実施したパイロットサーヴェーを踏まえ、宮城県牡鹿郡女川町江ノ島、大分県佐伯市米水津、山口県下関市吉母浦の3地域を重点的に調査し、課題解明にあたった。 調査実施状況は以下のとおりである。 江ノ島地区:8月3日〜6日、8月22日〜26日 米水津地区:8月9日〜19日、11月2日〜6日 吉母浦地区:8月9日〜14日 これに漁民家族が緊密に係わる点を実証しようとうする試みであり、このため調査地域の漁民社会を構成する漁民家族を数例ずつサンプリングし、これら家族の来歴、社会活動、経済状況、文化的・信仰的行動などを漁業との関連で微視的に検討を加えることを旨とした。本年度実施した調査においては、とりわけ漁民の夫-妻関係の中で選択される行動に着目し、妻の言動が夫の漁業における意志決定に大きく作用している点が確認できた。その背後には漁家の家計管理に妻が大きく貢献し、妻自身の経済活動(加工業や鮮魚販売など)とも相まって、漁民社会における女性の経済的優位性が存在することが明らかになった。また、大学院生を雇い、既存文献資料のデータベース化を実施した。
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