少子化は少子高齢化に関わる問題として論じられている。本研究では少子高齢化社会のライフデザインという観点から、「ケア」、ライフステージ観、余暇の確保や多様性のある暮らしについて、調査研究を進めた。 1.基礎的資料の収集 少子化傾向が縮小し注目されるデンマークを中心に基本文献を収集した。 2.研究調査 1)高齢化と過疎化が進行してきた徳島県上勝町における活性化の試みについて2度研究調査を行った。地域の高齢者に適合的な事業展開、事業の担い手として外部から若年層を受け入れ共に暮らすための具体的実践に関し知見を深めた。 2)多文化主義の実践で注目されるカナダのトロント市において、多様な世代が共に暮らす街がいかにデザインされ実践されつつあるかについて3カ所で研究調査を行った。高齢者ケア施設が、高齢者用一般住居、子育て世代用住居、文化施設に近接して建設され、高齢者用住居からのアウトリーチとして、文化活動の地域住民への開放、自宅で生活する高齢者への支援が実践されている現状について情報収集した。いずれの施設においても複数のエスニック・グループが暮らし、エスニック・アイデンティティを尊重しつつ互いに文化的刺激を与えている様子が観察された。 3.研究会開催 「少子高齢化社会におけるライフデザインに向けて-ライフステージ間関係への問い」というテーマで京都文教大学において研究会を開催し研究協力者とともに報告・ディスカッションを行った。(鈴木七美「少子高齢化社会の問題性とライフデザインのゆくえ-循環的共生の模索」;山田千香子(長崎県立大学教授)「ライフステージ変化への戦略-しまの高齢化とカナダ日系移民社会の事例から」;洪賢秀(科学技術文明研究所研究員)「生殖をめぐる韓国社会の対応と課題」;コメント田中真砂子(お茶の水女子大学名誉教授) 4.2.1)の研究調査に関し研究論文を執筆した。
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