研究課題
基盤研究(C)
少子高齢化への問題意識を契機として、暮らしの可能体を再考することが緊急の課題である。本研究においては、とくに以下の3点について、現地調査研究に基づき考察を深めた。1.少子高齢社会やケア・福祉に関する議論を整理・考察する。2.時間の使い方やライフサイクルの捉え方などに表現される様々なライフスタイル(教育・家族関係)の検討に基づき、時のデザインのヴァリエーションを考察する。3.多文化・多年代の人々の往来・交流を可能とする空間の創出とアクセシビリティの工夫の実践から、諸関係性の可能性を再考する。対象地域社会として「超少子化」国たる日本と対比的に「ゆるやかな少子化」社会に移行を遂げつつある北海沿岸地域に着目し、さらに教育やライフサイクルについて特徴ある実践を試みている北米のコミュニティをとりあげ、比較文化研究を進めた。その結果、少子高齢化を経験してきた国々において、出生率が注視されているとは限らず、フランス、デンマーク、スイスなどでは、経済的支援や仕事のしかたにヴァリエーションをもたせるなど子育てへの配慮もなされる一方、移民の流入や国際養子縁組による子どもの移動にも深い関心が向けられていることが見いだされた。人々が囲いこまれることなく交流できることが、一方向的ではないケア=配慮を生みだし持続的共生を可能とする一要素と考えられる。本研究では、こうした空間の創出と柔軟な持続的活用に関し、基盤的研究と応用的研究を連関させつつ進め、今後の課題でもある「福祉」(well-being)概念の発展的再構築の基盤的知見を提示した。
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(report made with a grant for scientific research (Kakenhi, 2005-2007), subsidized by the Japan Society for the Promotion of Science (JSPS), grant for scientific research (C), #17520563), Representative : Nanami Suzuki 97
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