• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2005 年度 実績報告書

12世紀ドイツにおける法の構造変動の総合的研究-中世中期の王権を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 17530003
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東京大学

研究代表者

西川 洋一  東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (00114596)

キーワード学識法 / ラントフリーデ / 叙任権闘争 / 法制史 / 国制史 / 国王裁判 / 立法権 / 特権状
研究概要

本年度は、研究の初年度であったため、主として関係する諸問題に関する研究の最新動向を広く検討し、学説史的な関連の中に位置づけることに努めた。とりわけ、近年その研究の進展の著しいオットー朝、ザーリアー朝の王権の政治的支配と政治的行為のあり方に関する諸研究を網羅的に調査した。これらの研究は、それが扱っている時代に対する従来の見方を根底から変えようとする意図を持って発表されているため、その個々の主張の史料的根拠を精査し、それぞれのケースにおけるアクターの具体的な属性を分類することにより、史料によって支持されない一般化を避けることに努めた。
次に、主として叙述史料を主たる材料としつつ、貴族社会における儀礼的な行為の持つ(広い意味での)法的・政治的インプリケーションを明らかにしたこれらの研究の与えた衝撃を前提として、従来の法制史的研究が主要な史料としてきた国王証書をもう一度新たな視角から検討する作業に入った。オットー朝期からザーリアー期まで、MGH Diplomataに含まれている国王証書をすべて分析し、予想されたことではあったが、発給地がドイツであるかイタリアであるかによって極めて特徴的な差異があることが明らかになった。すなわちドイツにおいて発給された証書においては、例えば国王集会における行為も制度的な性格がきわめて弱い。それでも、証書には、ある決定が正当な裁判によるものであるとの観念があったことを示す文言(たとえばlegali iudicio (con) fiscatum)がしばしば見られ、必ずしも制度的な(広い意味での)裁判の観念が消滅していたわけではないことが明らかである。これに対し、イタリアで発給された証書には、王権が在地の裁判制度に適応した形での裁判に加わる現象がはっきり見られた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] 書評 森本芳樹『比較史の道-ヨーロッパ中世から広い世界へ』2006

    • 著者名/発表者名
      西川洋一
    • 雑誌名

      法制史研究 55号

      ページ: 267-272

  • [雑誌論文] 翻訳「カーリン・ネールゼン=フォン=シュトリューク『中世における商業革命と海上保険』」2006

    • 著者名/発表者名
      西川洋一
    • 雑誌名

      法学協会雑誌 123巻3号

      ページ: 1-28

  • [雑誌論文] 中世中期の国王統治をいかに把握するか--サシエ報告に接して2005

    • 著者名/発表者名
      西川洋一
    • 雑誌名

      公家と武家の比較文明史(笠屋和比古編)(思文閣出版)

      ページ: 316-321

URL: 

公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi