本研究の課題として挙げた項目ごとに研究実績をまとめれば以下の通りである。 1.藩法史料の文字データ化当初予定したうち、対馬藩「罰責」についてはほぼ2/3にあたる2000頁分の翻刻と入力を完成させ、史料集(全4冊を予定)前半の刊行準備が整った。長州藩「温故便覧」はほぼ1/3について同様の成果を得た。期間の終了後も引き続きそれらの完了に努めることになる。 2.文字データ化した藩法史料の文字列検索システムの構築本研究の準備段階でほぼ完成していた盛岡藩「刑罪」について、PDFファイルによる全文検索システムを完成した。約200万字を自由に検索できるシステムにより、書籍メディアと並行利用することによって内容の把握と分析が飛躍的に迅速かつ正確に行えるようになった。 なお、このシステムには地名検索を付加することができたので、デジタル版に収録した領分の古絵図(地名座標埋め込み済)と双方向的に、本文の地名と絵図上のポイントが検索できるようになっている。 3.デジタルデータの公開と分析上記の成果は逐次、掲載の許諾を得たものについて、全てホームページ上で公開しているので、所期の目的は達成されている。ただしセキュリティの関係でパスワードを必要とする部分もあるが、近々DVDによる提供を計画しているので、これによってデータ公開は完了することになる。 (http://wwwhou1.meijo-u.ac.jp/housei2/index.html参照) このようなデジタルデータの分析は緒についたばかりであるが、研究代表者・分担研究者の研究発表に見るように、かなり精緻な論考に結実しているし、今後さらに多角的な分析が継続されるはずである。
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