本年度の研究実施計画の主な柱は、(1)日本の循環型社会推進法制に関する論文を完成すること、(2)日本やドイツの省庁に直接おもむき、担当者へのヒアリングや一次資料の収集を行うこと、(3)中間的な研究成果をまとめ、各研究会で発表すること、であった。 実際の成果として、(1)に関しては、「廃棄物をめぐる法の仕組み」と「循環型社会の形成とまちづくり」という2論文を執筆し、2007年度中には公表される予定である。また、核燃料リサイクル政策に関して、「原子炉設置許可段階における安全審査の合理性」(11参照)という論文を執筆・公表した。さらに、「行政法の話題景観をどうやって守るか一国立マンション事件」、「行政法の話題 行政訴訟と保護法益」、「土地区画整理事業計画」、「第二種市街地再開発事業計画」といった4論文(11参照)は、いずれも環境政策と都市政策の融合に関するものであり、「規制に関する司法審査一アイヌの聖地ダム事件」という論文は環境政策と公共事業政策の融合に関するものである。これらは、本研究から発展させた研究と位置づけることができる。 (2)に関しては、2月中旬より、ドイツ・トリア大学環境・技術法研究所におもむき、そこで、ドイツにおける脱原発政策に関する資料や循環型社会法制、特に、ドイツ家電リサイクル令制定にかんする資料を収集する。 (3)については、1月上旬に「行政法の新構想研究会」(代表:芝池義一京都大学教授)で「行政判断と司法審査」というテーマで報告し、もんじゅ訴訟差戻後上告審や公共事業に関する最近の判例の動向を中心に報告した。
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