当初計画は、今年度が本研究の最終年度にあたるため、研究成果の集約と総括を行うというものであった。 実際の成果としては、(1)日本の環境法に関して、(1)「環璋保護の主体」、(2)「廃棄物をめぐる法の仕組み」、(3)「循環型社会の形成とまちづくり」という論文を公表した(11を参照)。(1)論文は、国家組織の融合という観点から、環境保護の施策が複数の省庁によって策定・実施されていることを指摘した。また、(2)論文には廃棄物政策と産業政策との融合、(3)論文には、循環型社会形成政策とまちづくり政策との融合という観点が含まれている。 (2)ドイツ環境法に関しては、今年度初めから平成20年1月末までドイツ・トリア大学環境・技術法研究所において、主に「環境国家」論に関する資料収集、ヒアリング等を行った。これによると、従来の国家組織では将来世代の利益が十分に保護されないため、エコロジー委員会といった組織が連邦議会・連邦参議院とならぶ第3の機関として創設されるべきであると強く主張されている。新たな国家組織の創設という観点は、当初の研究計画にはなかった新たなものである。この成果の一部は民主主義科学者協会法律部会2008年春合宿行政法部会において報告したが、そこで出された疑問・意見を踏まえて、できるだけ成果を執筆・公表するつもりである。
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