2年間にわたり実施した比較法研究、国内運用調査をふまえて、3年目には研究成果をとりまとめた。まず、平成18年度に分析できなかった部分、具体的には、国民保護法制や災害対策法制の近接領域に関して、文献を収集し、国内法・外国法に関して補充を行った。 3年間の研究をとりまとめるにあたり、ドイツ連邦共和国のコンスタンツ大学法学部ハンス・クリスティアン・レール教授を訪問した。具体的には、2007年8月20日から同年9月4目の間、同大学のゲストハウスに滞在し、同大学の総合図書館を活用して、危機管理法制に関するドイツの法制度、判例を収集・分析したほか、同大学において研究報告を主題とする会を実施した。同大学では、レール教授のほか、ハルトムート・マウラー教授、ビンフリート・ブローム教授、ディーター・ロレンツ教授とも、意見交換の機会をもつことができた。道路法のコンメンタールを公刊しているロレンツ教授とは、公共施設管理法制における安全確保の問題を議論する機会に恵まれた。ドイツの諸教授との議論の中で、特に、日本法における行政法の機能に関し、誘導という視点の重要性に議論が集中したため、この問題を主題にしてドイツ語で論文を執筆した。これは、2008年6月にシュミット・アスマン教授古稀記念論文集に掲載されることが決定している(校正作業も終了している)。また、リスク管理に関する行政法制度に関する日独の異同も研究の対象に含めて検討を行った。本年度の研究成果として記載した論文は、その成果であり、岩波書店から出版できた。
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