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2006 年度 実績報告書

「国家の倫理的中立性」の再検討

研究課題

研究課題/領域番号 17530023
研究機関九州大学

研究代表者

渡辺 康行  九州大学, 大学院法学研究院, 教授 (30192818)

キーワード国家の倫理的中立性 / 国家の信条的中立性 / 思想・良心の自由 / 日の丸・君が代 / ドイツ憲法 / 基本権ドグマーティク / 法の支配 / 客観法原則
研究概要

本年度に行った研究の第一の柱は、「国家の信条的中立性」にかかわる。「国家の信条的中立性」は、日本国憲法において明文では規定されていない。そこで、このような客観法原則を持ち出す前に、思想・良心の自由という権利論によってどこまで問題を処理できるのかを確認しておく必要がある。この領域における最近の議論の焦点は、公立学校の入・卒業式における「日の丸・君が代」の強制という問題である。この点に関する裁判例や学説の動向を、「保護領域・侵害・正当化」というドイツにおける基本権ドグマーティクの枠組を用いて整理し直した(法政研究73巻1号論文)。この問題については、この論文公表後、2006年9月に東京地裁による違憲判決があり、また2007年2月には最高裁による合憲判決があるなど、注目判決が続出しているため、今後も継続して研究を行う予定である。
第二の柱は、「法の支配」にかかわる。国家が「倫理的中立性」に反する行為を行った場合、それをコントロールするのは司法部である。司法がそのような任務を行うに際して、「法の支配」という理念が主張されてきた。最近の日本では、この「法の支配」に関して、潜在的な、一部は顕在化した見解の対立が存在する。この状況を、いくつかの観点から整理し、「国産論争」として再構成したうえで、今後のあるべき議論の方向性を探った(岩波講座『憲法』第一巻掲載予定論文)。このような作業は、客観法原則違反の行為をいかに統制すべきかという将来的な検討課題を考える際の基礎をなすものと思われる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 政党の内部自治の司法審査2007

    • 著者名/発表者名
      渡辺康行
    • 雑誌名

      別冊ジュリスト『憲法判例百選II〔第5版〕』

      ページ: 418-419

  • [雑誌論文] 地方公共団体における外国人の昇任制限の合憲性2006

    • 著者名/発表者名
      渡辺康行
    • 雑誌名

      民商法雑誌 135巻2号

      ページ: 375-393

  • [雑誌論文] 書評 : 宍戸常寿『憲法裁判権の動態』2006

    • 著者名/発表者名
      渡辺康行
    • 雑誌名

      ジュリスト 1322号

      ページ: 37

  • [雑誌論文] 「思想・良心の自由」と「国家の信条的中立性」-「君が代」訴訟に関する裁判例および学説の動向から2006

    • 著者名/発表者名
      渡辺康行
    • 雑誌名

      法政研究 73巻1号

      ページ: 1-44

  • [雑誌論文] 取材・報道と肖像権2006

    • 著者名/発表者名
      渡辺康行
    • 雑誌名

      別冊ジュリスト(『平成18年度重要判例解説』) 1313号

      ページ: 9-10

  • [図書] ドイツの憲法判例II(第2版)2006

    • 著者名/発表者名
      ドイツ憲法判例研究会(編)
    • 総ページ数
      533
    • 出版者
      信山社

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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