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2007 年度 実績報告書

「国家の倫理的中立性」の再検討

研究課題

研究課題/領域番号 17530023
研究機関九州大学

研究代表者

渡辺 康行  九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (30192818)

キーワード国家の倫理的中立性 / 国家の信条的中立性 / 教師の思想・良心の自由 / 国家の宗教的中立性 / 教師の教育の自由 / 教育内容の中立性 / ムスリムのスカーフ
研究概要

過去2年間の研究を継続して、本年度も「国家の倫理的中立性」という要請は憲法解釈上いかなる役割を果たすことができるかについて、個別的な事例に即して考えてきた。
第一は、「国家の信条的中立性」にかかわる。一つの素材は、2007年2月に出されたピアノ伴奏拒否事件に関する最高裁判決である。「国家の信条的中立性」という客観原則を持ち出す前に、教師の思想・良心の自由という主観的権利を道具として論ずる仕方を、かなり念入りに考察した(ジュリスト1337号論文、法律のひろば61巻1号論文など)。もう一つの素材は、石川中学事件である。この事件では、教師の授業内容を理由として訓告処分がなされた。ここでも「教育内容の中立性」という客観原則を持ち出す前に、教師の教育の自由を道具として論ずる可能性について考察した(近刊予定の『事例研究憲法』所収論文)。
第二は、「国家の宗教的中立性」にかかわる。一つの素材は、首相の靖国神社参拝問題である。ここでも、訴訟の場面では、「国家の宗教的中立性」という客観原則が争われる以前に、参拝によって個人の主観的権利が侵害されたかどうか、が争点となった。この点について、最高裁判決を中心に分析をおこなった(民商法雑誌136巻6号論文)。もう一つの素材は、イスラム教徒の教師のスカーフ事件である。ムスリムのスカーフを着用して授業を行うことは、「国家の宗教的中立性」に反するのか。この要請は、この事件において重要な考慮要素ではあるけれども、それだけでこの事件を解決することはできないという状況を、ドイツと日本に即して考察した(『ドイツの憲法判例III』、『事例研究憲法』所収予定論文)。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 職務命令と思想・良心の自由2008

    • 著者名/発表者名
      渡辺 康行
    • 雑誌名

      法律のひろば 61巻1号

      ページ: 60-69

  • [雑誌論文] 公教育における「君が代」と「国家の信条的中立性」2007

    • 著者名/発表者名
      渡辺 康行
    • 雑誌名

      ジュリスト 1337号

      ページ: 32-39

  • [雑誌論文] 靖国参拝と損害賠償の対象とすべき法的利益侵害の有無2007

    • 著者名/発表者名
      渡辺 康行
    • 雑誌名

      民商法雑誌 136巻6号

      ページ: 727-735

  • [図書] 岩波講座憲法1立憲主義の哲学的問題地平2007

    • 著者名/発表者名
      井上 達夫, ほか
    • 総ページ数
      332
    • 出版者
      岩波書店

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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