平成18年度における研究実績の概要は次のようなものであった。 1.オーストリア2002年大学法の制度枠組みを同法のコンメンタールや最近収集した文献資料を基に詳細に検討することで、学問の自由や大学の自治との関連で理論的な問題性を洗い出し、分析した。 2.オーストリアにおいては、大学の管理運営を行う機関として「大学管理会議」が設置されている。この機関は科学・文化・経済領域から選出される者、政府・政党に属さない有識者、そして、当該大学の構成員でない者のうちから選出される5名から構成されている。大学とは異なる組織から選出される大学管理会議が大学の管理運営機関として位置づけられることは、大学自身による大学の管理・運営にどのような影響を及ぼすのかが問題となっている。このことは、わが国においても、国立大学の経営と教育についての役割分化が行われ、経営部門については大学外部からの人選が行われていることから、大学の外部からの意思が大学の自治にどのように作用する点で共通である。 3.現在のところ、研究成果を論文の形で公表する段階ではない。
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