1、地方税法の課税・徴収権の解釈上の問題 本研究においては、まず地方公共団体の自主課税権の範囲や地方公共団体の課税権、徴収権をめぐる法解釈上の問題点を探っている。憲法改正における自主課税権(地方財政権)についての明文化などの立法論等についても検討を行っている。外形標準課税や法定外税をめぐる最近の問題点を考察している。法定外税の導入による地方団体の課税権がどのように変化したかなど、自治体課税権の拡大化や応益課税にそった解釈論の必要性を説いている。なお、道州制の議論が高まってきたことから、地方公共団体の自主課税権の憲法上の位置づけと徴収権との結びつきを理論的に検討を加えようとした(地方団体を横断する「地方税滞納整理機構」、徴収の民間化委託の問題を含む)。 2、特別徴収制度の問題点、税業務の共同化の課題と方向性 三位一体改革による地方への税源委譲により地方税の負担増が図られているところであるが、これをとりまく徴収問題を検討している。収納・滞納整理に係る税務行政のあり方についても検討を重ね、税業務の一元化(共同化)について課題と方向性を示す。 特に、地方税における賦課課税制度と特別徴収制度との関連性(国税は、申告制度と源泉徴収制度が原則)に着目することによって、法的に課税漏れ・滞納誘発するメカニズムが地方税には広範囲に存在することを明らかにした。また、今日税務の共同化が不可欠であり、それに向けての論点整理を行った。 3、滞納状況・対応に対する実態調査 上記のような法的な検討に加えて、滞納状況にかかる実態調査にとりかかった(アンケート等の準備作業)。地方団体における滞納状況の把握を行ったが、税目に着目して地方自治体による滞納率の低下(徴収率の向上)についての取り組みの現状についての整理を行った。地方税の徴収にかかる合理化、効率化の推進状況としてとりまとめをすすめている(地方公共団体へのヒヤリングや基礎的資料の収集も行った)。
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