研究概要 |
前年度は,消費者を欺瞞する取引行為等の不公正な消費者取引行為に対するアメリカ合衆国及びEUの取組みを海外出張して調査し,アメリカ合衆国については,調査を終了し,とりまとめを行った。本年度においては,EUの取組みを引き続き海外出張して調査することとし,EU主要国のイギリス,ドイツ,フランス及びスニーデンの状況をさらに追跡調査し,これまで収集した資料,ビアリング結果を整理し,とりまとめ作業を行った。 EUにおいては,2005年5月に消費者に対する不公正な商慣行を包括的に規制する国内法制の整備を求める指令が出され,加盟国のほとんどは,この指令に適合した内容の国内法制を整備する作業をほぼ終了する段階にある。加盟国は,この指令により不公正な消費者取引行為を漏れなく包括的に排除できるように法制度を改めるとともに,同行為への制裁を強化している。また,2004年に採択された消費者保護当局の協力に関する規則に基づき加盟国消費者保護当局間で,国境を越える不公正な消費者取引行為に対する調査や措置について連携を図ることが義務づけられ,そのための法制度の整備も図ってきている。このため,EU加盟国は,不公正な消費者取引に対する行政当局の関与を強めざるを得なくなっており,前記指令に基づく加盟国の国内法制の整備を契機に,そうした方向性が一層強まっている。 3年間の本研究の結果,アメリカ合衆国とEUの双方とも,欺瞞的な行為を含む不公正な消費者取引行為を漏れなく包括的に排除し,同行為への制裁を強化し,かつ消費者関係当局間の連携を強化していることが確認され,日本でのこうした取り組みよりも進展していることが確認された。
|