研究概要 |
研究初年度である本年度は,基礎的な作業としてまず研究課題に関連する先行研究の収集及び検討を行った。また,障害をもつ人の雇用・就労支援に関する理念の展開及び到達点を確認するため,国際条約,国内法,行政資料等の収集と整理を行った。 次に,国内における障害をもつ人の雇用・就労支援法制について検討を行った。特に障害者雇用促進法における障害をもつ当事者への公的就労支援制度に関して,同法改正の系譜並びに就労支援制度の展開状況と現行制度の到達点について整理と検討を行った。そして,現在日本における障害をもつ人の就労支援制度は,法に基づく国の制度として「障害者雇用支援センター」,「障害者就業・生活支援センター」等について近年整備が進みつつあり,支援対象数はまだ少ないが職場適応援助者による当事者就労支援施策が障害をもつ人の就労に高い成果をあげていること等について分析した。そして2005年の同法改正により創設された「職場適応援助者助成金」等の制度が,当事者就労支援施策の展開において大きな役割をもつと考察するに至った。今後の研究課題として,障害をもつ人の就労支援制度が実態レベルでどのように運用されているのか検証を進める必要があると言える。 以上の検討を基に論文「障害者雇用促進法における障害をもつ人の就労支援制度」を作成し公刊の予定である。 次年度においては,障害をもつ人の雇用・就労法制に関して外国を含めて検討を行い,その中で当事者への公的支援制度のあり方を考察していき,本研究の成果として逐次公表していく予定である。
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