研究概要 |
研究の最終年度にあたる本年度は,昨年度において雑誌論文のかたちで公表した事故調査と刑事手続に関する具体的な制度設計の構想にっき,それをより具体化し,基礎付けるために,アメリカとドイツを中心に外国法制の調査と分析を行った。取り上げた問題は,(1)過失犯の処罰範囲,(2)事故調査機関と捜査機関との関係,(3)刑事制裁以外の制裁制度の有無とその運用の状況の3点である。 次に,本研究に関係する具体的な動きとして,医療事故における事故調査と刑事司法制度への関心が急激に高まるとともに,昨年度からは,医療分野において,日本内科学会を母体として「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」が実施されている。そこで,本研究をより具体化させるために,医療事故に特化した研究を行った。その一環として,日本医師会が主催した「医療事故責任問題検討委員会」に委員として出席し,事故調査のあり方を含む,医療事故に対する刑事責任の追及にあり方に関する検討を行った。その報告書は,まもなく公表される予定である。 また,東京大学大学院医学系研究科の医療安全管理学講座主催による,モデル事業の関係者を対象としたトレーニングセミナーにおいて,「事故調査と刑事手続」と題する講演を行った。
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