本研究では、少年法と児童福祉法の二元的な少年保護法制の交錯領域を、触法少年と虞犯少年の二つの非行少年に分けて考察した。そこでの主要な関心は、現行の二元的な少年保護システムの問題点と、その解決策を検討剔出することにあった。本研究では、二元的少年保護システムの歴史的沿革を丹念にフォローし、そこでの知見を踏まえつつ、実態を解明した。具体的な研究内容は以下の通りである。 1.触法少年における二元的保護システムの研究 (1)二元的保護システムの歴史的沿革について、第二次世界大戦以前と以後の二期に分けて研究した。 (2)北海道地区(札幌矯正管区)・近畿地区(大阪矯正管区)・関東地区(東京矯正管区)における児童自立支援施設・少年院等の機関での触法少年に対する処遇の実態を調査した。 2.虞犯少年における二元的な保護システムの研究 (1)二元的保護システムの歴史的沿革について、第二次世界大戦以前と以後の二期に分けて研究した。 (2)北海道地区(札幌矯正管区)・近畿地区(大阪矯正管区)・関東地区(東京矯正管区)における児童自立支援施設・少年院等の機関での虞犯少年に対する処遇の実態を調査した。 上記各(2)の実態調査については、調査票並びに聞き取り調査実施時に書き取った記録等を基に処遇の実態を分析した。分析の結果として、児童自立支援施設・少年院の各施設において処遇を受けている児童・少年の近年の特質、各施設における特色ある処遇実践と処遇上で現在抱えている問題点、また、各施設が近年の少年法や児童福祉法の改正に対して持っているスタンスの違いなどが明らかになった。
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