本年度は、プロジェクト最終年度であることを踏まえ、(1)これまでの研究成果をまとめた石塚伸一編『日本版ドラッグ・コート〜処遇から治療へ〜』(日本評論社、2007年3月)を素材として、われわれの構想を普及し、これについての意見を聴取するための研究会・研修会などを開催すること、および、(2)ドラッグ・コート発祥の地である米国フロリダ州マイアミのドラッグ・コートからゲストを招聰し、「ドラッグ・コートとは何か」についての認識を深め、その法的問題を検討するための国際シンポジウムを開催することの主たる目標とした。 その結果、6回の研究会および東京・京都での2回のシンポジウムを開催し、多くの研究者、実務家および一般市民に私たちの提案を知っていただく機会を得た。なお、研究会等の成果は、『龍谷大学矯正・保護研究センター研究年報』第5号に「特集・薬物依存症からの回復:改革への挑戦(チャレンジ)〔仮題〕」に掲載の予定である。また、薬物事犯対策に関する個人論文を『ジュリスト』第1362号に掲載の予定である。 このほか、法社会学会での報告、天理大学・日本弁護士会・滋賀県薬物防止大会・横浜市民フォーラム等での講演、京都拘置所の薬物離脱教育の授業などにおいても本研究の成果を発表した。 全社会的コストの観点から見た場合に最も適した薬物対策のシミュレーションについては、上記編著において、試算を示しているが、より精緻で、説得力のある論拠とするためには、本格的な調査研究が必要であり、今後の課題である。
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