代表者と分担者で、各自の分担部分につき入手可能な文献資料等の情報に基づき、定期的会合により、英国・独逸の現状を分析し、当該国での実施調査に向けての準備、その際の質問事項・収集の必要な文献資料について整理を行った。 英国では、エイクイタブル生命の破綻(2000年)の原因に関するペンローズ報告書において、とくにCEOとアポインテッド・アクチュアリーの兼務によるガバナンスの機能不全および商品価格の設定に関する不適切な対応等の問題点が指摘された。この結果を受けて、政府は二人の専門家に異なる調査を依頼し、モーリス調査に基づく諮問書が公表されている。英国では2004年12月以降、従来のアポインテッド・アクチュアリーを廃止して、ファンクションホールダー・アクチュアリーと配当アクチュアリーという新たな制度に移行しているといわれている。英国が、保険会社のガバナンスのあり方、とくに自主規制団体に依存しすぎる危険性をどのように是正するのか重大な関心事である。 独逸では、2002年5月1日に、従来の連邦銀行監督庁、連邦証券取引監督庁、連邦保険監督庁が組織統合され、連邦金融監督庁となったが、その監督体制の実質は従来と大きく変わらず、また保険監督法上も責任アクチュアリー規制については若干の改正点が見られるだけで(例、VAG11a条3項3号2文の追加等)、基本的には大きな変更はないようである。1994年以降の監督実務において、DAV(独逸アクチュアリー会)の自主規制団体としての活動・その果たした役割、責任アクチュアリーの職務の実態等が重大な関心事である。 英国のアクチュアリー制度に対する規制が、それをモデルとした独逸の規制方向(法規制)に進むのかどうか注目されるところである。保険会社のとくに財務の健全性確保の上で、監督庁・保険会社のアクチュアリー・アクチュアリー会(自主規制団体)との連携のあり方が、とりわけ英国の規制においてどのように修正・変更がなされているのかが注目されるところである。 平成17年度末(3月19日〜3月30日)に英国・独逸の監督機関およびアクチュアリー会等への実地調査を行い、ヒヤリング、資料等の収集を行う予定である。
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