3年の研究期間の最終年度(3年目)に当たる平成19年度においては、不動産実体法・手続法のそれぞれにつき、以下のような研究成果の発表を行った。 (1)不動産実体法-不動産実体法関係では、民法177条の「第三者」の主観的範囲に関する判例理論である「背信的悪意者排除論」の生成過程と現状を整理する論稿を、有斐閣『民法の争点』において発表した。 (2)不動産手続法-不動産手続法(登記法)に関しては、3年間の研究のまとめとして、以下の2つの成果を発表している。 (1)日本土地家屋調査士会連合会の会報『土地家屋調査士』誌に、前年度より連載していた「土地家屋調査士のための法律学」と題する毎号独立テーマの連続論文を完結させた(全8回)。本連載に関しては、その掲載段階より、実務に反響があり、連載テーマにつき各都道府県の土地家屋調査士会・公共嘱託登記土地家屋調査士協会の依頼を受けて講演を行ったほか、(株)日本加除出版より単行本としての出版依頼が来ている。 (2)法務総合研究所(登記官の研修等を目的とする組織)の編集にかかる『民事研修』誌に、平成19年8月より、編集部からの依頼により、「不動産物権変動における公示の原則の動揺・補遺」と題する全10回の長期連載を行っている(平成20年5月号にて完結予定)。 (3)その他 (1)前年度より編集を担当していた、日本司法書士会連合会・日本土地家屋調査士連合会『条解(新)不動産登記法』(弘文堂)については、平成20年内の刊行が予定されている。 (2)司法書士との連携に関しては、平成19年10月より、日本司法書士会連合会との間で、「信託と登記」に関する共同研究を開始し、現在、月1回の研究会を福岡県司法書士会にて開催し、研究成果を集約中である。 (3)土地家屋調査士との連携に関しては、平成19年6月に、福岡県調査士会の学術顧問に就任し、シンポジウムの基調講演、各種研修の講師等の委嘱を受けている。
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