公刊されている交通事故に関する判決文を基に、裁判所に認定された具体的な弁護士費用の額を通じて弁護士活動に関する分析を行っている。 弁護士費用敗訴者負担主義を採用するイギリスにおいては、法律扶助の改正により、成功報酬制度が、交通事故類型を中心に定着しており、敗訴した場合の弁護士費用を回避するために権利保護保険も急速に普及している。そこで、弁護士の成功報酬、保険料が合理的な額と認められるか、が判例上も議論されている。イギリスにおける具体的な弁護士の活動、裁判所の対応などの問題について、あわせて2回聞取調査を行った。 当初は、我が国における一定の事件類型に関して、弁護士費用の負担について、具体的にどのように当事者と相手方および依頼人と自分の弁護士相互間で取り決めをしているのかについて、主として弁護士に聞取調査を行う予定であった。しかし、どのような事件を具体的に取り上げ、適確な質問事項を作成するには、まず、当事者と弁護士の関係について、より十分な調査をしたうえで行う必要を認めたので、本年度は、主に弁護士費用敗訴者負担についての理論的、比較法的考察を中心に行っている。
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