研究課題
研究初年度に当たる今年度は、広く、知見を広げることから研究を開始した。海外での学会報告と日仏両言語による論文発表が活動の柱となった。海外での学会発表としては、まず、5月に「法源論」に関する学会(レバノン)に参加して、日本法の現状を紹介するとともに、理論的考察を試みる報告をした。これは、給付の観点からは、それを生み出す規範は何かという問題として大切な視点だと思われる。とくに、グローバル化が進むなか、日本法としていかなる方向に歩むべきかを考えさせられた。そこでは判例の法源性に関する日本での議論が古色蒼然としているとの印象も得た。次に、9月には、アンリキャピタン協会主催の「競争法」に関する学会(モロッコ)に参加して、日本法に関する報告を大村敦志氏と共同で行なった。競争法は、契約の観点から、したがって民法の観点からも、その位置づけを踏まえることなくしては、現代の契約法の姿は正確に捉えられない。この点から、非常な示唆を得ることができた。研究の進捗状況については、発表論文について即して整理しておく(カッコ内は裏頁11にある業績に付した通し番号を指す)。まず、フランス語で公表したものとして、民法典の大前提にある概念の一つたる"civil"について分析を試みた(1)。さらに、フランス法のあり方を念頭に置きつつ日本の契約法の姿を叙述して、その国際的位相を明らかにしようと努めた(2)。次に、日本語で公表したものとして、フランスの現代の契約法の姿を分析したものと(3)、同じく、フランスの時効法の200年にわたる歴史的展開過程を辿ったものがある(4)。日本法に関しては、給付に対する制約として現われる利息制限立法のあり方を原理的に考察するとともに(5)、さらに遡って立法の原理そのものを考究しようと試みた(6)。その他、利息制限法の歴史を辿るエッセーを公表した(金融・商事判例1249号〜1260号連載)。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (6件)
銀行法務21 669号
ページ: 12-16
ジュリスト 1331号
ページ: 86-94
in : Libres.propos sur les sources du droit, Melanges en I'honneur de Philippe Jestaz
ページ: 273-292
Etudes offertes au Doyen Philippe Simler
ページ: 577-585
野村豊弘先生還暦記念論文集・二一世紀判例契約法の最前線
ページ: 547-599
フランス民法典の200年(北村一郎編)
ページ: 457-515