本研究は3年継続して行われ、その成果は最終的に単行本の出版によってなされる予定である。したがって、各年度の研究はかかる成果を実現するための準備研究となる。 本研究は、内容を、(1)金融機関の規制の意義、(2)金融機関の開業規制、(3)金融機関の財務規制、(4)金融機関の業務規制、(5)金融機関の破綻処理規制、(6)規制機関のあり方に分けることができる。平成17年度は、(1)と(2)を中心に研究を行った。 (1)については、特に、金融機関に特別の規制が要求される理由を、他の業種の企業と比較しながら解明する必要がある。そこでは、金融機関の業務の公益性の中身についての検討が不可欠である。研究手法は、内外の文献の検討が中心となった。必要に応じて、出張による文献収集を行った。また、各種研究会において研究の中間報告を行った。 その結果、金融機関のうち、銀行については、特に、決済機能の維持が重要であり、かかる機能を維持するために規制が正当化されるという結論に達した。 関連する研究として、かかる公益性を理由に、経営者である取締役の注意義務がどのように他の企業と異なるのかについて検討を加えた。その前提として、他の企業の注意義務について考察を行った。かかる成果は、本研究から派生するものであるものの、本研究に必要かつ有益な作業と位置づけすることができる。 (1)の研究成果を踏まえて、継続して、(2)の検討を行っている。参入規制の方法として免許制の是非について歴史的考察を通じて明らかにするようにつとめた。
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