本研究は、内容を、(1)金融機関の規制の意義、(2)金融機関の開業規制、(3)金融機関の財務規制、(4)金融機関の業務規制、(5)金融機関の破綻処理規制、(6)金融機関の規制機関に分けることができる。(1)については、他の業種の企業と比較検討の上、銀行については、特に、決済機能の維持が重要であり、かかる機能を維持するために規制が正当化されるという結論に達した。(1)の研究成果を踏まえて、(2)の検討を行った。参入規制の方法として免許制の合理性を、歴史的考察を通じて明らかにした。(3)については、特に、自己資本比率規制と大口信用規制に焦点を当てた。その上で、国際的に新しく導入された新BIS基準の評価と課題の検討を行った。(4)については、特に、証券業務や保険業務への参入規制が中心的な課題となる。アメリカの最新の動きをフォローした。関連する研究として、わが国の金融機関に関する同様の課題を検討した。(5)については、金融機関が破綻した場合の信用秩序の維持の在り方を検討した。金融機関の破綻後の顧客資産の保護の在り方も検討課題とした。(6)については、金融のコングロマリット化が進む中、監督機関の権限の再構築が重要な課題である。この点についてのアメリカの近年の動向を考察した。 以上の研究の成果を単行本として公表する予定である。
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