研究課題
基盤研究(C)
精神的損害概念の再検討を、責任論・損害論・時効論との三位一体的な関係の中で検討するための理論的研究と、その問題分野ごとへの具体化をめざす研究の2本立てで進めた。前者の理論的研究の成果は、後述の民法724条後段の20年期間の起算点論をめぐる2本の論文にまとめた。これは、潜在型健康被害(職業病)の事案である筑豊じん肺訴訟における最高裁2004・4・27判決が20年期間の起算点である「不法行為の時」を「損害の全部又は一部の発生した時」とする趣旨が、単に潜在型健康被害についてだけでなく、広く加害行為から一定の時の経過を経て損害が顕在化する類型の不法行為にあてはまるものであることを論じたものである。精神的損害概念との関係でいえば、PTSDのように、加害行為から長期間を経て、精神的苦痛が強固によみがえる場合や、児童の性的虐待のように、成熟した後で、なされた加害行為の意味を理解し、あらたに精神的損害をこうむるような場合にも適用できる考え方であることを分析した。後者の問題別の検討では、児童の性的虐待の他に、セクシュアル・ハラスメントをめぐる責任論、損害論、とりわけ、大学におけるセクシュアル・ハラスメントに対する責任追及の相手方として、直接の加害者個人とともに、再発防止にかかわることによって、自らが受けた心の傷の回復をもはかろうとする被害者にとって、大学の予防責任・事後責任の果たし方が重要であることを検討した。また、精神的損害の回復にとっては、法律家の関与だけでなく、心理面での専門家との連携も重要であることから、大学での法曹養成教育における法と心理との連携についても検討した。
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