本研究の目的は、民間部門を包括的に規律するわが国個人情報保護法の次なる課題(第2世代の個人情報保護法の立法課題)を探ることである。本年度も、わが国の現状を意識しつつ、諸外国の法制を調査、分析することに努めたが、3ヶ年の研究のまとめとして、個人情報保護法・行政機関個人情報保護法にかかる判例・答申の動向を整理する作業も行なった。具体的には特に以下のような実績がある。 1 治安と個人情報保護の問題について、EU(とくにドイツ)の現状を分析した。その成果の一部として、犯罪予防と個人情報保護及び外国人法制と個人情報保護の問題に関係するドイツ語論文を、各論文の著者との意見交換を踏まえ、翻訳、発表した。 2 ドイツの個人信用情報の保護の問題について、ドイツ最大の個人信用情報機関であるSCHFAの歴史、SHUFAにおける個人情報保護法の運用実態について調査した。また、EUのプロジェクトとして開始された、ドイツの個人情報保護マーク制度の動向を調査、その成果の一部を公表した。 3 わが国の個人情報保護法制の運用についても、その動向を追い、論文を公にした。個人情報保護法の見直しのためのフォロウアップ作業である、国民生活審議会での議論の結果を分析し、また、個人情報保護法の解釈運用の基準ともいわれている経済産業省ガイドラインの改訂について、その経緯・内容等を整理し、発表した。 4 2006年度の法とコンピュータ学会における基調報告に加筆、修正を施したものを公表した。
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