環境共生型町づくりのうち景観形成の面に絞って報告する。 1.景観法制定前は景観形成に関する総合的な法律はなく、景観形成は国の法律によるというよりは地方自治体の条例によって主導されていた。2.しかし、その景観条例が法律の委任に基づかない条例制定権に基づく自主条例であったことによる法律の裏付けがないままに私権を制限することへの躊躇ど私権規制への住民合意取り付けの困難さを回避するために、景観形成・保全のための私権規制への違反行為については勧告、公表に止める場合が多い(行政指導による誘導)。したがって、自治体による景観形成は強制力が弱かったという弱点があった。その一方、都市計画法の美観地区、高度地区等を活用して景観形成に実効性を持たせる動きも一部自治体であった。3.この状況の中で、2004年に、景観に関する初の総合的な法律として景観法が制定された。この景観法は景観形成のための私権規制に法的強制力を持たせるなど、これまでの景観条例の弱点を補い、地方自治体による景観形成政策に実効性を保証しようとするものである。4.全国の地方自治体では景観法の施行により従来の景観条例を景観法に基づく景観計画に移行させる動きも広がっているが、景観計画の策定が全国73市町村に対し景観地区の設定は19市町村に止まっている(2008年3月1日現在)ことに象徴的なように、より私権規制が強い景観地区の設定には、私権規制への住民合意取り付けの点から、やはり躊躇する傾向がある。5.景観形成が順調に進んだり、景観地区設定に踏み切った自治体では、景観形成が住民側からの盛り上がりで行われているか、あるいは住民主導の町づくりシステムが採られている。したがって、景観形成ひいては環境共生型町づくりを推進するためには、住民自身に町づくり等を主体的に構想、推進させ、行政は側面支援するというシステムを構築することが重要である。
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