研究課題
基盤研究(C)
患者は、医療において自己決定権をもつことは、誰も疑わない。治療への同意権である。しかし、それが積極的な意思表示であることが少ないこともまた確かであろう。他方、そのコロラリーとしての、治療への同意拒否については、それよりはかなり積極的な形で意思表示されることが多い。自己決定権の核心にあってより絶対的性格のものは後者であろう。そのそれぞれの限界やいかに。同意にしろ、拒否にしろ、自己決定権を妨げるものは何か。自己決定権の根拠、性格、射程について、その具体的内容は、必ずしも分明であるわけではない。本研究は、そのような問題を法的に解明しようとする歩みを踏み出した基礎研究であり、医事法の根底にあるものの社会科学的探求・認識(理論的論述)を主体とする研究をすすめる、あるいは、法解釈学(解釈論的論述)の内側からこれに連なるような究明を試みようとするものであった。本研究の全体の構成は、4章よりなる。1治療行為における同意に関する 判例理論の形成、2治療への同意拒否に関する司法判例理論の形成・展開3輸血治療拒否と患者の権利法一患者の意思と医師の治療義務の均衡について、4がん治療の拒否と行政判例法理である。具体的には、1では、侵襲中の侵襲拡大に関する判例を検討し、2では、患者の治療拒否権についてその根拠と性格、射程・限界について総論的に考察し、続いて、3では、治療拒否権の各論的考察として、輸血治療の拒否について判例を分析し、4で、がん治療の拒否について行政判例検討分析した。
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福岡工業大学研究論集 40・1(印刷中)
福岡工業大学研究論集 38・2
ページ: 239
生命倫理学会誌・生命倫理 17
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Journal of Japan Association for Bioethics, Japan Association for Bioethics Vol. No. 1
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