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2006 年度 実績報告書

EUの多元的政体像-法学・政治学複眼的アプローチによる分析-

研究課題

研究課題/領域番号 17530099
研究機関東京大学

研究代表者

平島 健司  東京大学, 社会科学研究所, 教授 (40156659)

研究分担者 中村 民雄  東京大学, 社会科学研究所, 教授 (90237412)
キーワードEU / 多元的複合的政体 / ガバナンス / 憲法条約 / 基本権憲章 / 連合市民権 / 連帯
研究概要

本研究が掲げた目的は、生成を続けるEUの多元的政体像を、雇用や社会的包摂などの政策領域において近年、採用された「調整のオープン・メソッド」(Open Method of Co-ordination : OMC)に着目しつつ政策ガバナンスと秩序規範の二つの角度から複眼的に明らかにすることにあった。
しかしながら、OMCを分析するためには、まずヨーロッパ・レベルにおける雇用政策への着手そのものの解明が重要である。欧州統合は、もっぱら経済的自由化の試みとして始まったのであり、雇用・社会政策は基本的に福祉国家としての加盟国に委ねられていたからである。そこで本研究は、EUにおける経済的自由と社会的権利の拮抗関係を考察の補助線として追加した上で次の3点に関して考察を進めた。
(1)4つの自由移動を基本的原理として形成されてきた共同体において、社会的権利が対抗的に実現される場合に働く三つのメカニズム、すなわち(i)加盟国政府間における(「消極的統合」と比べて困難な)「積極的統合」、(ii)欧州裁判所による裁定(judicial ruling)、(iii)各国憲法の変容、これらのメカニズムを検討する。(2)共同体における労働力・サービスの自由移動と、社会保険制度を中核とする加盟国の福祉国家体制の維持という相互に背反する要請に対し、加盟国政府の対応と(先決裁定制度を通じて)欧州裁判所が積み重ねてきた判断の過程を整理する。そして、(3)欧州の次元において加盟国政府が定式化したOMCが、他の政策との問に調整を強いられてきた過程、ならびに、連合市民権の規定(マーストリヒト条約)から基本権憲章の採択、憲法条約草案の作成へと至る社会的権利の確定の流れと並行して欧州裁判所が形成した社会的権利の規範体系と、それがEU全体の民主的正当性に及ぼす影響について考察した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] EU法の優位性と東欧諸国の憲法 : ポーランドとチェコの憲法裁判所判決2007

    • 著者名/発表者名
      中村民雄
    • 雑誌名

      貿易と関税 55・2

      ページ: 67-75

  • [雑誌論文] 政策革新のメカニズムを考える-交渉デモクラシーの場合-2006

    • 著者名/発表者名
      平島健司
    • 雑誌名

      東京大学21世紀COEプログラム 先進国における政策システムの創出 Occasional Paper

      ページ: 16

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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