1.2007年度研究実績について、まず現実政治の面について述べる。 (1)2007年4月に東京都知事選挙があり、石原都政が継続することとなった。選挙過程は興味深いものであったので、各種演説会などを参与観察するとともに、新聞・雑誌記事などの収集に努めた。この選挙に関する研究は、共著(座談会)「都知事選、医療・福祉改革、地方自治」としてとりまとめるとともに、同年10月に開催された、都政問題研究者が一堂に会した市民集会「新自由主義と東京都政」における講演「新自由主義下の東京問題をめぐって」として公表している。 (2)大ロンドン行政庁(GLA)においては、2008年5月1日にロンドン市長および大ロンドン議会の選挙が行われ、現職のケン・リヴィングストン氏(労働党)が落選し、新たにボリス・ジョンソン氏(保守党)が当選した。私は参与観察のため、ロンドンに滞在し、調査を行った(経費については私費)。調査の成果については、08年度であることから論文としては公刊されていないが、研究成果報告書に部分的に収録した。 後者の調査に資するため、07年度には、モバイル型パソコン1台、およびデジタル録画された資料(録画機材は本研究の2005年研究費により購入済み)をデジタル処理するためのレコーダー1台を、それぞれ購入した。 2.第二に、本研究の理論面について述べる。「フォーディズム」から「ポスト・フォーディズム」へという理論については、日本行政学会での報告「日本の貧困・不平等問題と社会科学」、論文「戦後型保守から新自由主義プラス新保守主義へ」、論文「ポスト・フォーディズムと教育改革」にまとめた。地方自治および行政学の理論的な検討の成果は、「道州制と改憲」と題する論文として執筆した(報告書執筆時点で校正中)。
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