2006年7月の福岡におけるIPSA(世界政治学会)大会における「リプロダクティブ・ライツに関する政策の比較研究」のパネル、およびその後の東京を含む他都市における国際コンファレンスのための準備作業を行った。IPSAパネルに関しては、7月10日に実施されるべく、時間・部屋も確定した。東京では16日に国際コンファレンスが開催予定であり、13日もしくは14日には北九州男女共同参画センターで実施の方向で準備が進んでいる。 日本に関しては、終戦直後から1965年までの人工妊娠中絶の実態を調査するために、アンケート調査(郵送)を実施し、年度内に271件の回答を得た(人工妊娠中絶を体験していないもの約40も含む)。その傾向に関して分析を行っているが、非合法(無届け)で中絶を受けたというものはほとんどなく、「1955年の届出157万件を最高として、その前後には非合法(無届け)の件数が届出の2〜3倍あった」という広く流布した言説に対する、状況的な反証がある程度可能になってきたと考えられる。 Byun Whasoonには、6月に渡韓して面会し、2006年7月のIPSA(世界政治学会)における報告の依頼や手続きの確認を行った。IPSAあてに、韓国における胎児の性別に基づく選択的中絶と政治に関するアブストラクトを提出している。 Dag SrenvollおよびDorithy Mcbride(Stetsonより改名)とは、メールによって連絡を取っている。Stenvollは、共産主義政権崩壊後の東欧(特にポーランド)において、カトリック(反-中絶)勢力の復活によって中絶に対して制限的な政策が導入されたことを明らかにし、IPSAあてにアブストラクトを送った。McBrideは、1973年の合衆国連邦最高裁「ロウ判決」による中絶合法化以降も反中絶勢力による暴力行動や政治的ロビー活動が盛んであり、これら勢力と親和的なレーガンおよびブッシュ(父・息子)政権のもとにおいて、女性が中絶を受けうる実質的なチャンスが減じていることを論じようとし、IPSAにアブストラクトを送った。 パネルの司会予定のMarian Palleyとも連絡をとり、2006年7月来日の手はずを整えている。 福岡での2006年のIPSAパネルおよび他の国際コンファレンスにおいて、「リプロダクティブ・ライツに関する政策の比較研究」が飛躍的に進捗することが期待できるようになってきている。
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