近年、相対的に大きくなってきている政策のインパクト、それによって構成される現代日本の政策空間の実態とその影響を、「改革」をキーワードに、ダイナミックに理解することが本研究の課題である。そこで、本研究は、ここ数回の衆議院総選挙における各候補者の選挙公約を政党・政治家・政策の各レベルで分析し、現代日本の政治過程における政策(特に「改革」政策)の意味・影響を実証的に明らかにする事を目標としている。 本年度は、引き続きデータの作成作業を中心に行った。従来、継続してきた手法に基づき、2000年総選挙の選挙公約データの作成を進め、現在、ほぼコーディング作業を一通り終え、点検作業中である。また、比較のため作成した1986年データについては、テキスト入力がほぼ終了し、一部の都道府県についてコーディング作業中である。新たに今年度は2005年9月総選挙分について作業を進めた。現在、ほぼテキスト入力を終え、コーディング作業に着手している。 また、今年度は、コーディング作業について、自分自身の作業内容を整理し説明するため、また他の研究者の利用を促進するため、公約データ作成の作業工程およびその意義、課題、対応策などを検討し、その成果を発表した。 今年度は公約データそのものを本格的な駆使した分析には至らなかったが、分析対象である国会議員の社会的基盤とのつながり、あるいは、政党の選挙戦略と有権者の反応について、異なるデータで分析を行い、理解を深めた。最終年度は、政党レベル・政治家レベル・政策レベルの選挙公約分析を進め、さらに年度間の比較を行うことによって、現代日本の政策空間の変容とその影響を「改革」を軸に解明していきたい。
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